2013年9月21日土曜日

iPhoneケースと保護シートはApple Storeで買え

昨日のぼやきがもやもやしたまま、大須で予備のLightningケーブルを調達。良心的な店では、「iOS 7でだめになったけど充電だけならOK」など、過去のhackにApple側が対応をしていることをちゃんと述べている一方、イケショップなんかは「充電OK」「ビデオやオーディオ非対応」など不明瞭な表示、一方で某中古ショップは表示なしで、店員に確認すると「OSのバージョンアップとともにだんだん対策とられます」という、さらに曖昧な対応だったりして、結局良心的な表示のお店でMade for iPhoneとかついてる国産品を買いました。あんまり安くないんだけど。あとで某中古ショップで980円の中華ケーブルに、「このMade for iPhoneは本当か」と尋ねたら「本当です」とのお答えがあったので、そのうちためしてみることにする。

しかし、どの店もiPhone 5s/5cは持て余しているようで、auは早くも2万円引きとか表示を出していて在庫処分モードに入りつつあるよう。ついでなので展示品(動作するもの)の5cのプラスチックケースを確認してみたけれど、なんとイオシスの中華モックと同じ品質だった。キーノートで流され、いまもAppleのサイトのトップからリンクが貼られている5cのビデオでは、丁寧な仕上げをアピールしているけれど、僕にはこれはなんていうのかなぁ、「精一杯がんばりました」という言い訳モードだったように改めて思われた。好みの問題ではあろうけれども、僕にはアウト。NokiaはGood。全然アプローチが違うけれど。

ただ、iPhoneの主な購買層は学生というのが世界的な傾向のようなので、若い人向けにポップなほうに振ってみましたということなのだろう。あとでうちの学生に印象をきいてみたい。

で、もうなんだかすごい負け気分で歩いているうちに、なんとなくApple Storeでも覗いてみるかという気持ちになり、1駅北へ歩いた。Apple Storeの1階はものすごい熱気でiPhone 5s/5cの契約をやっている。店外まで行列らしきものも若干出ているような感じで。どうもここだけは異世界らしい。

息苦しいほどの熱気を避けながら階段を上って2階へ行くと、ここは契約が済んだ人が当然サプライ品を買い求めるためにあふれているわけですね。1階より少し人が少ないけど、ここは名古屋なのに銀座店かと思うほどの混雑。アジア人だけど完璧なアメリカ英語で会話しながら商品選んでる若者たちもいたりして。

で、ケースを見ると、incaseがいいのを出してるじゃないですか。ジョニーのデザインしたApple製品にいちばんフィットするカバーやケースを出しているのがincaseだと思っていて、MacBookの保護袋を昔買っていたりしたのだけれど、いろいろあるプラスチックケースのなかで、これはうまいなと惹きつけられたのはやはりincase製品だった。

プラスチックなんだけれども、きちんとした剛性感があり、角など特に危険な部分は肉厚を若干つけて衝撃吸収の隙間を作るなど、丁寧な仕事をしている。真っ黒なケースもあったのだけれど、よく考えるとAppleロゴを隠さなくてもいいのではと思って横を見ると、横だけゴムが塗布してあり、バックは透明なままというのもあった。緑とかオレンジとかもあって、白系が入手できた人にはそれもよさそうではある。価格も特別高くない。そして、「うーん、すでに5千円もドコモショップに払っているがどうしよう」と思っているところに、別のお客さんの対応で、「もし実際に使ってみてお気に召さないようでしたら、1週間以内なら返品できます」という声がきこえてきた。しかも、それが液晶保護シートについての言葉。

おお、まるでアメリカではないか。使い捨て商品でも使用後に「気に入らなかったから」と返品するのがアメリカ人。それができるならチャレンジしてもよいと、その気になった。液晶保護シートも、それまで、板はもう使えないのでケースのおまけのシートを貼ってあったのだが、指紋と脂でベトベトだったので、「返品してもいいなら買ってみるか」と、まぁうまく誘導されているわけだがそれに乗ってしまった。店員おすすめは、店内でいちばん多く展開されている恵比寿の限定品みたいなのじゃなくて、belkinのもの。belkinもAppleサプライ品ではメジャーなメーカー。すべてアンチグレアなのだけれども、belkinの「TrueClear」というのは、裏の説明文を読むと、表面のデコボコを均一になるような加工がしてあって、乱反射がない(から、文字がにじまない)のが売りらしい。

で、試してみました。満足しました。表から見たら真っ黒だけど、裏はクリアなので、カメラ部分の色の切り返しは商品そのまま。Appleのガイドラインでケースのカメラ部分の穴は周囲を黒くするように、という指示は守ってあるけれども気にならない。

incaseのケースは上下が角を除いてあいていて、要するにドックにそのまま乗せられるタイプということになるかと思う。これとは別に500円増しになるけれど、lighteningとイヤホン端子以外はすべてカバーして、スイッチ類もプラスチックの部品がはまっているという、完全防備なものがあり、少し迷った。スピーカーの穴も本体と全く同じ寸法で開いていて、よくできている。

あと、Apple純正のケースだけれど、すみません、本皮でしたね。見てみると、非常に品のよい仕上がりで、黒もよい感じなのだけれど、やはり過剰装備な感はあった。皮だと汗で変色するわけで、品よく味を出す使い方は僕にはできそうにないと思ったので。

iPhone 4のときは、香港で郵送費込30円というのを使っていて、郵送費のもとがとれているのか心配になったものの、結構しっかりしていてよかったのだが、あれはiPhone 4という、それなりに存在感のある商品だから負けなかったのであって、iPhone 5sは安物のケースでは本当にチープになってしまうような気がする。カジュアルに使っていくならもちろんそれでいいわけだけれど、今回のincaseのケースによって、iPhone 5sのチープ感はかなり払拭されたように見えるので、返品するつもりで一度Apple Storeで買ってみてからほかのケースを探すのでもよいのではないかと思った次第。

2013年9月20日金曜日

iPhoneってこんなにビンボくさかったっけ?

(2013年9月23日:保護シート関係の勘違いがあったので修正しました)

iPhone 5sのファーストインプレッションである。

いままでさんざん噂記事を読み、翌朝公開されたキーノートを見ているので、とりたてて意外に思うことはなかった。

ひとつ気になっていたのは、画面が小さくなること。本当に僕の老眼で4inchのディスプレイの文字が読めるのか? という問題。

結論からいうと、そこはさすがにRetina Displayと長年培ったAppleのフォントレンダリング技術。デフォルトの文字サイズでも、全く問題はなかった。読める。小さいけど。表示面積の狭さで構えるところはあるけれど、内容に没入すれば、Galaxyの中華フォントにイライラしながら読むよりも、よほど美麗な文字とレイアウトで、さらさらと読める。このストレスのなさはさすがだと思った。さらに、設定で対応しているアプリやサイトでは文字の大きさのデフォルトを調整できる。いちばん大きいところのひとつ下ぐらいがよさそうだったので、そのようにしておいた。とはいえ、非対応アプリやサイトで読みづらいということは全くない。Galaxyのほうがよほど醜悪である。

それから、iPhone 5と同じだったかどうか確認していないが、軽いこと。本体が小さく、それ以上に軽量なことで、ポケットに入れられる。Galaxyはポケットでは存在感があって、長時間入れておくにはためらわれるが、iPhone 5sはポケットにあったことを忘れてしまう。ふと気づいてさっと取り出せる感じは久しぶり(iPhone 4をほんのわずかの間使ったとき以来)。

だが、モノとしての魅力はここまで。金型を使わずNCによる切削加工は金型データの流出による粗悪コピー中華Androidマシンを避けるのと金型不要でコストを大幅に削減できることから採用されていると考えるのだが、ソニーがいみじくも言うように、両面ガラスへのこだわりは重要だと思う。Appleがこれを捨てたのは、軽いという点での貢献と、ガラス割れの損害が半減することにあるのかもしれないけれども、存在感が、どうにもビンボくさい。工場での量産品、だからこそ安いわけだがそれにしてもフラッグシップ機の存在感とはほど遠い。

そこを工作精度の緻密さで勝負しているわけだけれど、それは金属加工を知っている人に「ふーん」という感想を与えるだけで、一般の人にはなにも響いていないように思う。iPhone 5が売れなかったのは、4Sとの差が実質(LTE対応の地域が限られたことを含め)あまりなかったことも大きいかもしれないが、消費者感覚として、「軽い」以外の魅力と「長い」という形以外の印象がなかったことが大きいのではないか。

実のところ、iPhone 5sは、iOS 7との組み合わせでようやく実力が発揮されていると感じている。iOS 7は、iPhoneユーザにとっては4Sでもサクサクなのだそうで、とりたてて買い換えるほどのアピールにはなっていないようだが、iPad 3では明確にもっさりとしており、おそらくiPad 4以上でなければ使い続けることに疑問を持つことになると思う。というか、iPad 3 + iOS 7の「もっさり感」は、iPad 2が出たときのiPad 1に対する印象と同じぐらい悪い。

一方で、iPhone 5sでのiOS 7は当然64bitコアに最適化されたOSであることやCPU及びGPUの性能向上で明らかなアドバンテージがあるのは当然のことながら、えーとなんだっけ、「Touch ID」だっけか、指紋認証との統合や、おそらくM7サブプロセッサによるものと思われる、モーションに対する精度良い反応、そして、まるでWindows 8からパクったような、画面外からのスワイプという新しい要素が自然にUXに組み込まれていることだ。いったん覚えたらもう以前の使い方には戻りたくないと感じさせられる作り込みがそこにはある。つまり、ハードウェアとしてはチープとまでは言わないものの魅力に欠けるがソフトウェアとの組み合わせでなんとか優位性を保っているように思われる。

UXという点では、ネットではGalaxy Noteに対する評価が高いようだが、僕は基本的にTouch Wizが大嫌いだしAndroidそのものが与えるUXには一貫性が低いと感じているので(特にTouch Wizはソフトウェアボタンの左右がバニラ・アンドロイドと逆で、メニューがそこに割り当てられていることに、Nexusシリーズとの間で大混乱をしていたので許せない)積極的に興味を持つには至っていない。ワコムのSペンが新しいUXを与えていて秀逸だ、ということは読んで想像の範囲で理解できなくはないので、そこまでを否定するつもりはない。

一方で、iOSはiOS 3(までしか知らないのだが)から決定的な変更はなく、脱獄Tweakで実現されてきた「こうであったほうが操作性がいい」を着実にパクる(もしくは実際に開発者を雇って組み込む)ことで順調によいUXを与え続けることに成功していると感じていて、久々にiPhoneに戻ってきて懐かしさを感じるほどだった(iOS 4とiOS 7という違いがあるのに)。不満を挙げるなら、いいかげんSpringBoaradの不自由さはなんとかしてもらわないと、アイコンが何ページにもわたってずらずらと醜悪に並ぶのは勘弁してほしい、という程度だ。たしか、アイコンに関しては1段フォルダが追加された以外の変化はしていないのではなかっただろうか。多段フォルダがいいかというと疑問だけれども、Windows Phoneのパネルに大きさのバリエーションをつける部分、Androidのアイコンをグリッド上の自由な場所に置けること(これは脱獄Tweakの基本だ)、脱獄Tweakに多い、Notification Centerへのウィジェット追加(コントロールセンターとして一部取り入れられたがユーザーカスタマイズできないのは不便)など、学ぶべき改良点は多いはずだ。ジョブズとジョニーのSimple思想に反するのかどうかわからないが、「誰かうまいことジョニーを説得して新しいデザイン言語をアドプトするまでたたかえ」と言っておくことにする。

ついでなので、ドコモショップで買い物をする人も多いと思うので、アクセサリーについてもぼやきを述べておく。

まずフィルム。iPhoneを修理不能になるまで使い続ける人は別として、買い替えを考える人なら必ず中古に出すはずで、その際、ガラス表面のコートの状態で買取価格がかなり違うので、保護フィルムは絶対に必要なのだが、どうして日本で売っているフィルムはどれもだめなんだろう。

いや、iPhone 4のときには香港から郵送したりしてもらって何十円とかだったので、「やっぱ国産は違う」と思っていたものの、「堅けりゃよいってもんじゃないだろう」というのが僕の意見。特にiOS 7では書体が細いことから透明度が重要になるので、スモークの選択はありえない。しかし、薄かろうが厚かろうが、自己修復機能があろうが、いずれにせよ、縁にほこりがたまったり、悪くすると引っ掛けてはがれたりするのは、たいへんよろしくない。はがれたら、たいていホコリが入るし場合によっては折れ曲がってそれっきりということもある。業者は買い替え需要があって助かるかもしれないが、買い換えるつもりで何百円も出して買っている人は少数だろう。

アメリカで、たまたまRadioShackが扱っていたGalaxy SIII用保護フィルムを$17ぐらいで購入したのだが、これはよかった。柔らかいのだ。イメージとしては、図書館などで図書の表紙にべったり貼り付けるビニールシート、もしくはビニール傘のビニール部分をイメージしてもらいたい。これが、弱い粘着力でも画面にぴったりと貼り付くのだ。そして、指紋は全くつかない。当然、ほこりがたまることもない。やんわりと衝撃も吸収して、指触りはサラサラではないが、べったりというのでもなく、人肌というか、あたたかみがあってよい。スタイラスに向くかと言われれば疑問だが、ファブレットサイズ以上でもない限り、指以外で操作することは少ないと思うので、せめてスマホサイズではこの材質を積極的に採用してもらいたい。

その点、本日購入した「Glass」という、2500円を超える価格の商品はその真逆に屹立する偉大な山岳だ。店員によるとなにやら硬さを表すH3というのが普通の商品のところ、これはH9であることが売りとのこと。なんだかよくわからないが普通と違うということで、価格的には無理を感じながら買ってみたが、これはフィルムではなく板だった。厚さ0.5mmのアクリルパネル(素材は違うかもしれないが、硬さを表現するためにアクリルを例にした)強化ガラス板を載せると思っていただいてよいのだ。不思議な話だが、もとの強化ガラスの上に強化ガラスの板を貼るということ。ただし、スマホと同様の表面コートをしているようで、ガラスであるからシートのような指ざわりの変化も特に感じられない。これはよいことかもしれない。

おそらく、iPhone 4Sや5でガラスを盛大に何度も割った人の要望を叶えるためのものだろう。これだけの厚さの板で防護すれば、角から落とすとかでもない限り、衝撃のかなりの部分は受け止めてくれるだろう。また、ひびが入ったとしても指にあたって痛いとかそういうこともないだろう。

だが、この厚さのため、ホームボタンが異様に陥没した状態になる。当然メーカーも承知しているようで、「高級感のあるアルミ製ボタンカバー」がついているのだが、たしかにAppleのガイドラインに沿って、導電性のあるカバーでなければTouch IDが反応しないから金属を使うのはいいのだが、僕は真っ黒にしたいのであって、そこだけ輝くのもどうかと思うのだ。(追記:また、指紋センサーの上を覆ってしまうので、指紋読み取りができなくなるような気がするのだがどうなんだろう。)したがって、なんだか奥まったホームボタンで指紋認証をしたりして、慣れるよう努力してみた。

ところが、これだけの厚さがあっても気泡はできる。それもわりと盛大に細かいやつが。RadioShackのやわらか素材でも盛大に気泡は入るのだが、これはなぜか液晶を点灯すると全く気にならないのでそのままにしていた。一方で、この板の下の気泡は、板の存在感がありまくりなので足の裏の米粒というのか、ただそこにあるというだけで猛烈に気になる。ので、何度も貼替えをトライしていたら、板が反ってしまった! 板なので、反ったらガラスに密着しない。気泡どころではない騒ぎで、下から貼っていったので上のカメラ部分あたりは完全に浮いている状態になってしまった。これでは使えない。(追記:ガラスが繰り返しの曲げでほんとに反ってしまうのかよくわからないのだが、事実そうなったので、お求めになる方はご注意を。念のため、アイロンをかけてみるつもりではあるけれども。)

というわけで、「ガラスを割った心の傷が癒えない人」以外には、この商品はおすすめできない。「なんとなく高級そう」とか生ぬるい気持ちで購入して幸せになれるかどうかは、その人次第ではあろうけれども僕には疑問だ。

次、ケース。本体がビンボくさいので、せめてケースはパリっとしてやろうかとアルミの「うすうす」ケースにしてみたが、ちっともリッチにならなかった。金属であるから当然衝撃にも弱いはずで、そうしたらすぐ裏のアルミケースにへこみなどが及ぶことは容易に想像できるため、割りきってプラスチックケースにすべきと思った。

iPhone 5cはアキバのイオシスで、販売前に中国から流れてきたモックを手にしてみた程度だが、あれは論外で、例えばNokia Lumixシリーズのプラスチック筐体はとてもよい。軽くて強度があり、弾性も適度にあるため、少々雑に扱っても壊れない安心感があり、また傷にもならない。iPhoneのようにうやうやしくネジを外して分解するような世界ではなく、またGalaxyのように安物のパネルをパカっと外すような、やるたびに気分が萎えるようなこともなく、Lumixのプラスチックケースは気軽にパカっとあけて電池やSDカードにアクセスできる感じなのに特にチープな印象もなく、「このデザインはありだな」と思わせるバランスに仕上がっている。

iPhone 5sに戻ると、そういういわけで、プラスチック素材で柔らかく包むことが、こうなんというか、フラジャイルな感じのiPhone 5sには必要ではないかと思う。Apple純正が合成皮革素材に内部は起毛素材というのは、まったく理にかなっていると思う。皮のイメージでゴージャス感を出し、耐衝撃性とふんわり包む安心感を装着する人に与えるという計算がなされていると想像できる。お金に余裕があって、皮に抵抗がない人は積極的に選んでいいのではないか。個人的にはiPad 1でむやみに重たい全面保護装備の純正ケースでこりごりしたので、Apple純正品は過剰装備と思っているから考えていないけれども。

あと、Appleのガイドラインでカメラ周辺には十分な空き空間を作るとともに反射を抑えるため黒色にすることが指示されているが、今回購入したアルミうすうすケースは、カメラ周辺の開口部がしっかりとってあり、そのせいでせっかく真っ黒にしたかったのに本体がカメラ部分の黒から中央の「グレイ」に切り替えられている部分も窓から除いてしまうという間抜けな結果をもたらしてくれた。ここにも苦言を呈しておきたい。

Appleが要請する空きの大きさが、色の切替部分をも含むものだとしたら、ケースデザイナはそれが浮いてしまわないよう配慮しなければならない。シルバーやゴールドはあまり大きな色の違いはなさそうだが、真っ黒にしたい人向けのケースは難しそうだというのが今回の印象。できることなら、本体の色と装着状態が確認できるようなディスプレイを店舗には期待したいとともに、裸の本体に見本のケースをはめてみてから買うぐらいの余裕をもってケース選びをしてもいいのではないかと思った。

iPhone 5sまつりに参加してきた

この夏のアメリカ長期出張で、アメリカのサービスの悪さはITで補われていること、そこに特にiPhoneの存在が大きいことを強く印象づけられた。

Androidでは、たいていだめ。Google Mapsはとても便利なんだけれど、iPhoneのAppleマップもとても改善されていて、十分使い物になる。

車社会のアメリカでは、西海岸の大都市を除いて公共交通機関の案内はひどく悪い。そもそも飛行機でさえ、UA(ユナイテッド)はチェックインした客が搭乗しようがしまいが、なんのコールもしない。それ以前に、搭乗開始のアナウンスさえマイクを使わないから、ITなしでは搭乗カウンター前に1時間前から陣取って、いつ整列の指示をするのか見張っていなければならなかった。UAのアプリを入れていれば自動で通知があるから、その辺歩いたり食べたりしていても大丈夫なんだが。さらに、プライオリティパスさえあれば列に並ばなくていいから、スマホの呼び出しでぶらりと行けば乗れる。僕はとにかく格安チケットで最低ランクのエコノミーばかりだったから、何便も寝過ごしたとかスマホの画面見て下向いている間に飛行機が飛んでしまったとか、余分な出費と無駄な時間をずいぶんと過ごした。

飛行機もそうだけれど、鉄道路線の案内も決してよいものではない。そもそもどこに駅があるか、観光都市ならインフォメーションで地図をもらえばいいけれど、そうでなければ地図サービスのお世話になるしかない。バスはもっとひどくて、西海岸は比較的表示が多いのだが、ピッツバーグはバス停は単に「BUS STOP」のカードがついた杭が立っているだけ。それがどの路線でどこ向きで何時にどこへ行くのかなどは全く書かれていない。逆向きの場合、バス停さえなく、降りるときに停車場所をきいておかないと、次のブロックだったりして途方に暮れることもあった。

で、だいたいお決まりは「Webサイトを見よ」。URLだけ書いてあったりする。かといって、バス停を探そうとすると、最初に「正確な住所を入力せよ」と投げ出されて、部分一致検索とかさえなかったりするので、大きなPDFの路線図を小さな画面で拡大して、いまいるらしい場所に近そうなバス停の名前を探したりするのだけれど、「なんとかストリート」がむちゃくちゃ長かったりするので、その「なんとかアベニューの交差点」といわれてもアベニューが見つからなかったりするのであてにならない。

その点、Google MapsもAppleマップも丁寧にバス停の位置を現在地からナビしてくれるし、何時発車の何番バスにどこまで乗ってどこで乗り換えればいいかまで表示してくれるから、画期的なわけです。というか、交通会社がなんだかそのせいでシステムの改良をさぼってるんじゃないかと思う。

それから、食事や買い物に絶対に必要なのがYelp。店の公式サイトはなくてもYelpには掲載されていたりするし、Yelpの☆4つ以上でない店は基本的に信用できない。また、ちょっとしたレストランならTables.comで混雑状況を確認して、即座に予約を入れなければ数時間待ちとかその日は入れないとか平気である。

YelpはたしかiOSしかなかったはず。Web版もあるけどiOSアプリのほうがずっと見やすい。僕はWalmartで買ったT-MobileロックのかかったNokia Lumia 521を$125で買ったものしか現地の携帯は持っていなかったので、Google Mapsでかなり助けられたけど、Yelpの恩恵は、ひとえに同行してくれた方のおかげだった。

というわけで、貧乏人がiPhoneを持つチャンスは、当面のところ、今朝の行列での機種変するしかなかった次第。ただ、日本のキャリアはまだSIMロック解除ができないし本体持ち込みでSIMだけ契約することもできないので、日本のキャリア縛りを買って、海外ではローミングで使うか、現地キャリアのMobile Hotspot(日本で言う、3Gルータ?LTEになってなんて言うんだろうか?)にWi-Fiで接続して使うかのどちらかか両方。

キャリアアンロックやSIM Free版に期待をしている人も多いようだけれど、少なくともドコモはLTEを自社販売のiPhoneでしか使わせない方針だし、他社もiPhoneは特別扱いだからプリペイドSIMが使えるのか、また結局それらは3Gまでなので、LTEには接続できない。そして困ったことに、LTEでは接続できても3Gはさっぱり、という地域がどうも身の回りで増えている状況があるので、観念してドコモの機種変を選びました。

というわけで、「まつりに参加」と書いたのですが、さすがにApple Storeの長大な行列に加わってメディアの取材を見て面白がるほど若くはないので、今回は名古屋市内の金山駅前ドコモショップに並ぶことにした。ひとつは、キャリアの契約にApple Storeの店員が慣れているかどうかの心配のほうが、ドコモの社員がiPhoneの取り扱いに慣れているかの心配を大きく上回ったからという事情もある。

昨夜7時の閉店時刻にたまたま金山駅を通過する用事があったので、ドコモショップのほうを眺めたところ、たったひとり、大学院生風の人がいただけだった。実はこのときはまだ決心は固まっていなくて、しかし各店在庫が10数台との噂から、この時間でこの人数なら大丈夫ではないかとの勇気を得て、職場から防寒用の毛布一枚を持ちだして野宿することにした。

ドコモショップは駅に面しているものの、裏通り側なので道が狭く、車の量も、スピードもたいしたことがないから結構静か。念のため、手持ちのガジェットはすべて満充電にしてKindleで読みかけの洋書も用意して終電での到着に臨んだけれど、その時点ではまだ2人目がいただけだった。結局3番が確定し、それとともに入荷量の掲示があり、安堵することとなった。

iPhone 5sは、シルバーとゴールドは入荷ゼロ。スペースグレイのみ。16GBが12台で32GBが13台で64GBが10台とか、そんな感じだった。5cはイエローは0だけれど、あとは20数台ずつ入っているようだった。

色に関しては、もともとグレイを黒いケースに入れて、iPhone 4みたいな真っ黒にするつもりだったので問題なし。安心して、よそはどうかなとTwitterのTLを眺めたり、あまりたいした情報が流れないので飽きてKindleで読書したりしていたのだけれど、隣が横になって眠りはじめたら、つられて眠くなって、毛布をかぶり、カバンをマクラにして眠り込んでしまった。さすがに深夜早朝は冷え込んだようだが、魔法の毛布のおかげで汗ばむほど、歩道のタイルも心地よく、枕の加減もよくて熟睡できた。

朝5時半ごろ目覚めると、警備の人たちがロープの張替えをしたりしながら他の行列の状況を互いに電話で交換しあったりしていて、やはりApple Storeは200人とか、別のどこかは0人とか、そんな声がきこえてきた。6時前を待って駅前のトイレを使って駅前のコンビニ(すぐそばのファミマはなんとなく気恥ずかしくて避けた)で朝食を買って食べた。この時点でまだ8名ぐらいだったような気がする。また眠りこけて目が覚めると、8時45分とかそのぐらいで、ドコモショップの店員から整理券と注意書きの束を配られた。3日前に、この店で見積もりや説明を受けているので、特に新しい内容はなかった。この時点で、20名ぐらいだったのではないか。

午前9時ちょうどに店が開き、従業員の整列の前を通って(いま思えばApple Storeのようにハイタッチなどしてあげればよかったとは思うが、寝ぼけていたので、日本人らしく「おはようございます」とか言いながら頭を下げて通過した)、カウンターに案内された。

こちらは事前に契約内容も決め手あり、手続きの順番も把握していたので、担当の応援の若手スタッフを暖かな目で見守るような感じで粛々と手続き。貧乏なので一括払いはできず24回払いなので、与信調査にちょっと時間がかかった以外は、いわゆる回線開通の儀式などはこちらのほうがよほどわかっているので、自前のドコモ回線のMobile Hotspotを使い、ドコモのキャリアプロファイルをダウンロード、インストール(署名がなかったんだがどういうことか)もこちらで行い、それからOS起動後の諸手順もこちらで教えてあげたりしたので、なんだか1番や2番の人より早く終わってしまった。といっても、10時半ぐらいにはなったんだけれど。

というところで、長くなったのでこのエントリーはここまで。次のエントリーで盛大にぼやくことにする。

iOS 7でのプライバシー設定(改善、か?)

iOSが行動ターゲティング広告会社にデータを売っている話が、iOS 6の頃にあった。

iOS 7でそれがどうなったのか気になっていたけれど、設定を見つけることがきょうまでできていなかった。ようやく気になるいくつかを見つけたのでこちらでご報告申し上げる次第。

まず、行動ターゲティング広告のIDについては、設定アプリの「プライバシー」の、いちばん下にずばり「広告」というのがあった。内容をみるに、これが以前問題になったものと共通する項目のようだ。明瞭な名前になったのは非常によろしい。

そして、デフォルト設定だが、「追跡型広告を制限」が「オン」になっている状態。以前のことがあるのでどちらの意味か迷ったが、いったんオフにして再びオンに戻すことに気づいた次第。したがって、「デフォルトで行動ターゲティング広告のIDは出さない」。デフォルトのままでよいということになる。これもよろしい。

というわけで、他社への販売業はやめたようだが、iOSには、iAdというアプリ組み込みの広告表示機能がある。iAdのライブラリを使ったアプリが出す広告を 妨げるにはそれこそ脱獄でもして機能を無効にするTweakでもあてるしかないのだが、広告の精度を向上させるには位置情報(GPSのデータ)を使うというのが流行らしく、Twitterアプリは位置情報を要求するときに、「広告の精度を高めます」と告白してくれる。Facebookは黙っているが、まぁ、位置情報をとったらそれを何かに使おうとはしているだろう。広告も含めて。

iAdももちろん、位置情報を利用する。これは例によって深いところに隠れていて、「プライバシー」→「位置情報サービス」→「システムサービス」のなかにある。上から4番目の「位置情報に基づくiAd」がそれだ。「かまわないでくれ」と思う人はこれを「オフ」に設定変更すべきだろう。

ほかにAppleがiOSで仕掛けたものといえば、Wi-FiアクセスポイントのIPアドレスとGPS位置情報との連動で、Androidでもそうだが「位置情報を正確にするためにWi-Fiをオンにします」というのは、屋内でGPSの衛星が使えないときにマップで自分の位置をより妥当な位置に表示するために集めているデータの組み合わせだ。未知の場所、特に海外で勝手がわからないときなどにマップアプリは必須なので、これを嫌うかどうかは趣味の問題になってしまったような気がするところ。こうした「安価な」手段を許さない人が以前からたくさんいれば別のイノベーションが起きただろうが(屋内位置情報に関する研究が、もっと以前から促進されていただろう)、もはや手遅れなのかなと僕は思っている。

この、「システムサービス」内にある「Wi-Fiネットワーキング」と「携帯電話通信網検索」というのは、要するにそういうもの。一見、「使えるWi-Fiスポットを教えてくれるのかな」とか「携帯の電波が届く場所を教えてくれるのかな」とか、サービスを受けるほうで想像してしまいがちだが、実は自分が情報提供者になるという意味なのでお間違えなきよう。マップアプリにエンドユーザーが課金されないのは、エンドユーザーが位置情報という貴重な資金源を無償提供しているからという視点は忘れないほうがいい。「無料サービスの資金源は、あなた自身だ」というネットサービスの格言がある。

それから、以前裁判所だったか司法省だったかからAppleが大目玉を食ったGPSデータ垂れ流しの件だが、それに関係するのは「診断/使用情報」だろう。トップに戻って「情報」のなかに入ると、下のほうにあり、iOS 7のデフォルトでは「送信しない」となっている。

送信しないのだから気にする必要もないのかもしれないが、ここにはデフォルトでGPSなど位置情報が入っている。これを停止したければ、再び「プライバシー」→「位置情報サービス」→「システムサービス」で、「診断/使用状況」をオフにすべきかと思う。

ひとまず気がついたのは、こんなところ。

2013年9月17日火曜日

Beagle Bone Black届いた

本日到着。いまのところ、これといった予定はないのですが。
Beagle Bone Black

2013年9月16日月曜日

ユニバーサル基板の配線には「ポリウレタン銅線」を使え

この夏は(というかお盆前からずっと)ユニバーサル基板に手ハンダで配線ということをずっとしているのですけど、いやほんと、疲れますね。

何が面倒かというともちろん部品間の配線でありまして、従来の(論理ICやオペアンプ単品を扱うような時代)常識では、部品の足を曲げたり、ニッパで切った足を集めておいてつなぐとか、長さが足りない時はスズメッキ線で引き回すなんてことをしますよね。

スズメッキ線は銅線にスズをメッキしているだけなので、当然交差すると接触のおそれがありますから、できるだけ接触しないように気遣うとか、場合によっては基板の表裏を縫って配線をまたぐなんてことをするわけですが、やればやるほど疲れるじゃないですか。

かといって、リード線は被覆をむくのが面倒(いくら工具を使うとしても)だし、裏で引っ張れば配線山盛りになるし表に出せば美しくない仕上がりで、美観を考えつつ引き回すとかまぁ、ありえな〜い!と叫びたいです。そもそも配線が何本も重なったら、デバッグの際にどれがどこに行っているのかわかったもんでもないわけですし。(色を変える人とかいますか)

もちろん、マイコン初期世代ではワイヤーラッピングなどというある種の工芸もあったわけですが、いずれにせよソケットに多数のワイヤが巻きつきそれがあちこち交差するわけで、やっぱりワイヤ山盛り状態でなおかつその美意識が厳しく問われる世界だったような気がするわけです。

さて、それで何年か前に「TTLでマイコンを自作する」話をTwitter経由で知り合った方から、「ポリウレタン銅線がいいですよ」と言われていたのを、先日ふと立ち寄った秋葉原で思い出したわけです。なんでも、銅線にポリウレタンがコートされているだけなので、ハンダゴテで簡単に溶けて、絶縁されているので重なってもOKという。その方は、ICソケットのピンに引っ掛けるぐらいの細い線でくるくると引き回すような職人芸をお持ちとおっしゃっていたような。

ちょうどいま、Raspberry Piの拡張I/O基板を作っておりまして、スズメッキ線の限界を感じていたところなので、秋月→千石→ヒロセというコースをたどるなかで、最後にヒロセの地下にあるのを見つけた次第。店頭の方いわく、「ネットでヒロセにあるというのをきいて買いに来られる方多いですよ」とのこと。あ、そうなんですか。

ただ、その前に、「ポリウレタン線」と言ったら、「ああ、ニクロム線ですね」と軽く返さえて「え?」と。ニクロム線というと、小学校の理科なんかでモータ巻くのに使った記憶しかなくて、濃紺色の塗膜が鈍く光る銅線というイメージと、店頭にある明るい銅線のギャップに戸惑うわけです。紙やすりで塗料をはがして配線する感じ。面倒だと歯でしごいたりなかして、塗料飲み込んでるけど大丈夫かな―なんて思ったりした少年時代を思い出します。

それはさておき、いや、なんでも、いまどきニクロムを塗布するような線材は作ってないんだそうで、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなどが主流になったから、その経緯でそれらを総称して「ニクロム線」と業界では言うらしい。へー。

というわけで買いました。0.4mm, 0.5mm, 0.6mmの3種類。いくらロジック回路とはいえ、あまり細い線は自分で取り回せるか不安だったので、どのへんが使いやすいか確認する意味でこの3種。というのも、極細のポリウレタン線のリールをお尻につけたペンを買って難儀した思い出(しかも1000円以上してすごく損した気分)がありまして。

ポリウレタン銅線
ひとことでいうなら、この0.5mmぐらいがある意味万能的な感じ。0.4mmは同じところを何本も線を通さなければいけないときに使うぐらいかな、というところ。でもってまぁ、使ってみたイメージはこんなところ。
追加の配線に使ってみた
スズメッキ線での涙ぐましい配線の末、回路図エディタの両面基板でも通せなかった線(基板を起こすならピン間に2本ぐらい通せばたぶんなんとかなるんでしょうが、手ハンダですからね)にこれを起用いたしました。これ、どこにつながっているかというと、Raspberry PiのGPIOから2個のモータドライバのロジック部分に入る線と、モータドライバから実際にモータをつなぐ端子台へつながる線のところ、それからトランジスタアレイ通したデジタル出力端子への配線です(と書いて、GPIOから直接つながっていることに気づきました…修正せねば)。ここはもう、両面駆使してなんとかモータドライバ周辺だけはなんとかなったものの、GPIOコネクタからの線が通る場所がなくて諦めていたところ。基板は秋月の両面スルーホールB基板です。なので、GPIOのコネクタのハンダは部品面に出ますから、その隣からえいやと貫通させて表で折り曲げてハンダする感じ。

使用感ですが、0.5mmはスズメッキ線ほどハンダの乗りはよくないものの、被覆が熔ければなんとかなる感じ。鉛フリーはんだをつかっているせいもあって作業性に問題があるのかもしれず、一応調温できるハンダゴテで450度設定です。なので、スズメッキ線全廃するには少し慣れが必要な印象でした。特に、短い配線は熔けたハンダに流されたりして、あららと戸惑ったりしました。

というわけで手ハンダする皆様には、ヒロセから通販で買うのをおすすめする次第ですが、名古屋の方なら、第二アメ横ビルのパーツコーナー入ってすぐ左のタケヤ電子でも扱われていましたのでどうぞ。なにより、スズメッキ線より安いのがよいです。貧乏なので10m巻きを買うわけですが、スズメッキ線だと300円ぐらい(ヒロセだと327円とか)のところ、それより100円ぐらい安かったりします。もちろん、リールで買うのもありかと。手のひらサイズで500g(グラム売り)が太さによりますが2000〜3000円ぐらい。

でももはや、Fusion PCB(香港)がある現在、ユニバーサル基板でがんばる必然性はほとんどないですよね。今後は回路図エディタでERCチェック通った基板を発注して作るつもりです。あと手ハンダも厳しいので、皆さんがやられているような、カッティングマシンでステンシル作って表面実装部品を鉄板焼きリフローするメソッドに移行していきたい感じです。