2016年6月11日土曜日

Nekoboard2をArduino化するw

Scaratchセンサーボードとして大人気らしい「Nekoboard2」について調べてほしいという依頼があり、週末にお借りしていろいろいじってみました。

第一印象は、この一言に尽きます。「え〜、こんなにちっちゃいの!?」
とってもちっちゃいNekoboard2
比較のために、なのぼ〜どAG 1.4と、秋月から購入したスライドボリュームを並べてみましたが、わかりにくいので言葉で補足すると、いちばん長い横幅で、5.3cmしかありません。大人の手のひらで握ってしまえるぐらいの大きさ。搭載されているスライドボリュームの長さが4.5cm。秋月のは6cmです。なのぼ〜どAGが5cm角。

念のため追記しておきますが、Nekoboard2にはモータドライバもArduinoとしてのI/O端子もありません。オリジナルのMIT PicoBoardと同じ機能。いまはSparkFun版が公式のようですね。よって、自作スケッチもセンサの値をシリアルで送る以外にこれといって実用的な用途はなさそうです。

SparkFun版もそうですが、ATmega328Pを使いながら、使うI/Oはたったの8個という豪華仕様。未使用ピンがたっぷりありますが32TQFPパッケージで周囲も他の部品が密集して取り囲んでいるのでリードを引っ張りだすのはほぼ無理。クロックも16MHzで、速度的にも余裕たっぷりです。

Nekoboard2は、MITがワニ口クリップのついたケーブルをイヤフォンジャック4個でつなぐ形にこだわるのを捨てて、とにかく小さく、安くする方針というのが特徴になると思います。日本では両ワニ口ケーブルが簡単に入手できるので、イヤフォンジャックつき専用ケーブルはちょっと過剰な仕様ではないかと僕も思います。

というわけで、Scratchセンサボード本来の使い方として、MITのScratch 2.0サイトにアクセスして、ブラウザに機能拡張を入れて動くことを確認したのち、Arduinoスケッチを書き込んだらどうなるのか、試してみました。

目的は、ドリトルのArduino対応用スケッチで、ドリトルのセンサボードとして使う、という方向です。結論からいうと、とても簡単でした。実際、普通に使えてしまいます。

以下、作業手順を記録しておきます。

まず、出荷状態のファームウェアのバックアップをとります。Nekoboad2は特にコードがロックされていないので、avrdudeで簡単にFlashの読み書きができます。ただ、Scratch 2.0対応とするためにFT231XS USB-シリアル変換チップのDTRがATmega328Pのリセットにつながっていないので、optibootをbootloaderにしていると、単にUSBでPCと接続しただけではavrdudeからリセットがかけられません。

よって、タクトスイッチの手前、FTDIチップの右にあるISP端子を使います。つまり、ISP装置必須です。といっても、arduinoISPが使えるので、Arduinoで生のAVRにArduinoのbootloaderを書き込むのと同じ準備でいいと思います。適当に検索していただく感じで。手元にはAVR ISPmkIIがあるので、それを使いました。
ISPの位置
Nekoboard2に給電するために、Nekoboard2をPCのUSB端子に、同じPCにISP装置をUSB接続します。

何度も書き換えを行う場合はISP端子にピンヘッダを立てておくのがよいと思いますが、今回は借り物なので、はんだづけしないで「指の力で押さえる」方式をとりました。
ピンヘッダを取り付けたISPコネクタを基板に押し付ける
コツは、斜めに力を加えることでしょうか。垂直では隙間ができてしまうので、傾けて穴のハンダメッキされた壁に全部の端子がきっちり当たる状態を保つ感じです。差し込む向きが合っていれば、ISP装置のランプが緑色になります。逆向きだとオレンジで点滅するのでわかります。接続がない状態では赤なので、色が変わる場所を探しましょう。

それで、avrdudeを使いますが、Arduino IDEがインストールされていればそのharware/avr/tools/以下にツールチェインが揃っているので、それを使うのが簡単。bin以下にバイナリがあり、etcの下にavrdude.confがあります。よって、
$ cd /Applications/Arduino.app/Contents/Java/hardware/avr/bin
$ ./avrdude -C../etc/avrdude.conf -p m328p -cavrisp2 -v -v -U flash:r:/tmp/flash.bin:r
これで、/tmp/flash.binにバックアップがとれます。Windowsな方は適当にアレンジしてください。

こんなログがとれました。


avrdude: Version 6.0.1, compiled on Apr 14 2015 at 16:30:25
Copyright (c) 2000-2005 Brian Dean, http://www.bdmicro.com/
Copyright (c) 2007-2009 Joerg Wunsch

System wide configuration file is "../etc/avrdude.conf"
User configuration file is "/Users/abcde/.avrduderc"
User configuration file does not exist or is not a regular file, skipping

Using Port : usb
Using Programmer : avrisp2
avrdude: usbdev_open(): Found AVRISP mkII, serno: 000200006105
AVR Part : ATmega328P
Chip Erase delay : 9000 us
PAGEL : PD7
BS2 : PC2
RESET disposition : dedicated
RETRY pulse : SCK
serial program mode : yes
parallel program mode : yes
Timeout : 200
StabDelay : 100
CmdexeDelay : 25
SyncLoops : 32
ByteDelay : 0
PollIndex : 3
PollValue : 0x53
Memory Detail :

Block Poll Page Polled
Memory Type Mode Delay Size Indx Paged Size Size #Pages MinW MaxW ReadBack
----------- ---- ----- ----- ---- ------ ------ ---- ------ ----- ----- ---------
eeprom 65 20 4 0 no 1024 4 0 3600 3600 0xff 0xff
flash 65 6 128 0 yes 32768 128 256 4500 4500 0xff 0xff
lfuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
hfuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
efuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
lock 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
calibration 0 0 0 0 no 1 0 0 0 0 0x00 0x00
signature 0 0 0 0 no 3 0 0 0 0 0x00 0x00

Programmer Type : STK500V2
Description : Atmel AVR ISP mkII
Programmer Model: AVRISP mkII
Hardware Version: 1
Firmware Version Master : 1.10
Vtarget : 5.1 V
SCK period : 8.00 us

avrdude: AVR device initialized and ready to accept instructions

Reading | ################################################## | 100% 0.00s

avrdude: Device signature = 0x1e950f
avrdude: safemode: lfuse reads as FF
avrdude: safemode: hfuse reads as D6
avrdude: safemode: efuse reads as 5
avrdude: reading flash memory:

Reading | ################################################## | 100% 9.61s

avrdude: writing output file "/tmp/flash.bin"

avrdude: safemode: lfuse reads as FF
avrdude: safemode: hfuse reads as D6
avrdude: safemode: efuse reads as 5
avrdude: safemode: Fuses OK (H:05, E:D6, L:FF)

avrdude done. Thank you.


今度は適当なArduinoのスケッチを書き込むわけですが、これはArduino IDEでできます。

ボードの設定を「Arduino Pro or Pro Mini」に、プロセッサを「ATmega328 (5V; 16MHz)」に選択します。

ボードとプロセッサの選択を間違えないように
コンパイル後の書き込みはシリアルポートからできないので、いつもの編集画面のボタンではなく、メニューから「書込装置を使って書き込む」を選択します。
メニューから書き込みを実行
これで、ISPの緑ランプの点滅が終われば書き込み完了しているので、押さえた手を離してISPケーブルを外します。この時点でリセットされているはずですが、念のため、Nekoboard2のUSBケーブルを抜き差しして再起動してみます。

これで、書き込んだスケッチが動作しているはず。といってもNekoboard2上の赤い明るいLEDは単なる電源ランプなので、Lチカできません。残念でした。

今回はドリトル同梱のスケッチを使いましたが、センサの値をシリアルで送信するようなスケッチとして、[ファイル]→[スケッチの例]→[3. Analog]→[AnalogInoutSerial]あたりはどうでしょうか。といっても、A0はセンサでなく外付けセンサA端子なので、コメント直下の最初の行にある「const int analogInPin = A0;」を、A4(明るさ)、A5(音量)、A7(スライドボリューム)のどれかに変えてからコンパイルするのがよいと思います。それで、シリアルモニタを開くと、値が数値で表示されるはずです。それから、Nekoboard2はタクトスイッチがD2につながっているので、デジタル入力のサンプルで値が変化するのをみてもよいと思います(Scratch向けには1のとき1023を返すようにしているようです)。

というわけで、簡単にArduinoとして使えることがわかってしまいました。USB-シリアル変換チップもFTDIを使っているのでとても安定していて、いい感じです。

さて、返却前にファームウェアをもとに戻しておかなくてはいけませんので、再びavrdudeを使います。ISPをつなぎましょう。
$ ./avrdude -C../etc/avrdude.conf -p m328p -cavrisp2 -v -v -U flash:w:/tmp/flash.bin
こんなログがとれました。


avrdude: Version 6.0.1, compiled on Apr 14 2015 at 16:30:25
Copyright (c) 2000-2005 Brian Dean, http://www.bdmicro.com/
Copyright (c) 2007-2009 Joerg Wunsch

System wide configuration file is "../etc/avrdude.conf"
User configuration file is "/Users/abcde/.avrduderc"
User configuration file does not exist or is not a regular file, skipping

Using Port : usb
Using Programmer : avrisp2
avrdude: usbdev_open(): Found AVRISP mkII, serno: 000200006105
AVR Part : ATmega328P
Chip Erase delay : 9000 us
PAGEL : PD7
BS2 : PC2
RESET disposition : dedicated
RETRY pulse : SCK
serial program mode : yes
parallel program mode : yes
Timeout : 200
StabDelay : 100
CmdexeDelay : 25
SyncLoops : 32
ByteDelay : 0
PollIndex : 3
PollValue : 0x53
Memory Detail :

Block Poll Page Polled
Memory Type Mode Delay Size Indx Paged Size Size #Pages MinW MaxW ReadBack
----------- ---- ----- ----- ---- ------ ------ ---- ------ ----- ----- ---------
eeprom 65 20 4 0 no 1024 4 0 3600 3600 0xff 0xff
flash 65 6 128 0 yes 32768 128 256 4500 4500 0xff 0xff
lfuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
hfuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
efuse 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
lock 0 0 0 0 no 1 0 0 4500 4500 0x00 0x00
calibration 0 0 0 0 no 1 0 0 0 0 0x00 0x00
signature 0 0 0 0 no 3 0 0 0 0 0x00 0x00

Programmer Type : STK500V2
Description : Atmel AVR ISP mkII
Programmer Model: AVRISP mkII
Hardware Version: 1
Firmware Version Master : 1.10
Vtarget : 5.1 V
SCK period : 8.00 us

avrdude: AVR device initialized and ready to accept instructions

Reading | ################################################## | 100% 0.01s

avrdude: Device signature = 0x1e950f
avrdude: safemode: lfuse reads as FF
avrdude: safemode: hfuse reads as D6
avrdude: safemode: efuse reads as 5
avrdude: NOTE: "flash" memory has been specified, an erase cycle will be performed
To disable this feature, specify the -D option.
avrdude: erasing chip
avrdude: reading input file "/tmp/flash.bin"
avrdude: input file /tmp/flash.bin auto detected as raw binary
avrdude: writing flash (32768 bytes):

Writing | ################################################## | 100% 9.52s

avrdude: 32768 bytes of flash written
avrdude: verifying flash memory against /tmp/flash.bin:
avrdude: load data flash data from input file /tmp/flash.bin:
avrdude: input file /tmp/flash.bin auto detected as raw binary
avrdude: input file /tmp/flash.bin contains 32768 bytes
avrdude: reading on-chip flash data:

Reading | ################################################## | 100% 9.63s

avrdude: verifying ...
avrdude: 32768 bytes of flash verified

avrdude: safemode: lfuse reads as FF
avrdude: safemode: hfuse reads as D6
avrdude: safemode: efuse reads as 5
avrdude: safemode: Fuses OK (H:05, E:D6, L:FF)

avrdude done. Thank you.


これで元通り、Scratchセンサボードとして使えます。

2016年4月20日水曜日

別のMacに接続したHDDへTimeMachineバックアップした場合の復元方法

TimeMachineバックアップで簡単なのは、Apple製品に囲われること、つまりTimeCapsuleをWiFi APとして使い、それに内蔵されたHDDをTimeMachineバックアップの対象とすることなんでしょうが、それにはお金がかかるので、別のMacがTimeMachineバックアップにしているHDDにファイル共有で相乗りしたいと思う人も多いのではないかと思います。

このときですが、普通にFinderからリモートドライブをマウントすると、SMB(Windowsファイル共有)でマウントされてしまうので、TimeMachineバックアップするときは、AFPでマウントしないと、権限が違うという理由で、そもそもTImeMachineバックアップが作成できません。マウスクリックでやる方法はわかりませんが、明示的にafpを指定してあげれば大丈夫。FinderからCmd-Kで「afp://マシンのドメイン名/保存先」のように。

このあと、TImeMachieをONにすれば、バックアップが始まります。

すると不思議なのは、ローカルHDDへのTimeMachineバックアップは、そのまま普通にファイルシステムとして見えて、バックアップ先のファイルを普通にコピーできるのに(ACLの属性はあれですが)、ネットワークでマウントした場合には、バックアップそのものは、マシンごとにひとつのsparsebundleつまりフォルダになっていて、おなじみInfo.plistなどもそこにはあります。そこにあるデータはなんだかフラグメントされたデータファイルの塊であって、ファイルとして見えません。

それで、リストアできるのか心配なので、念のためtarballを自分で作ってGoogle Driveにあげておいたりしたのですが、杞憂でした。

1回目の修理のときにGeniusに尋ねたら、「ファイルシステムとしてマウントすると普通のファイルに見えるんですよ」とのこと。実はこの説明はひとつだけはしょっているところがあるんですが、後述します。

さて、いったん初期化されたマシンからリモートドライブ上のTimeMachineバックアップで復元する方法ですが、以下の手順となるようです。(参考
  1. Cmd-Rで起動して、リカバリモードに入る
  2. ターミナルを起動して、リモートドライブをマウントし、おまじないをする。
  3. すると「TimeMachineバックアップ」という名前で見えるようになる
  4. ターミナルを終了して、通常のリカバリ手順に入る
結局、ターミナルでコマンドラインを入力するのに慣れていないとちょっとつらい、ということです。コマンドライン無理な人はTimeCapsule買うがいい(と、突き放してみる)。

さて、参考サイトをみながらやった手順を以下に記しておきます。ご参考まで。
  1.  リカバリモードから[ユーティリティ]→[ターミナル]で、ターミナルを起動する
  2. rootのコマンドプロンプトが出るので、管理者(シングルユーザモード?)ということがわかる
  3. ネットワークを接続しておく(やはり有線が早くて良いけれど、WiFiの設定はこの時点でもできる)
  4.  以下のコマンドで、まずリモートドライブをマウントする
    • mkdir /Volumes/TimeMachine
    • mount_afs afp://ユーザ名:パスワード@マシン名/保存先 /Volumes/TimeMachine
  5. すると、/Volumes/TimeMachine以下に、バックアップしたマシン名のsparsebundleフォルダが見えるので、以下のコマンドで普通のファイルに見えるようにします
    • hdid /Volumes/TimeMachine/バックアップしたマシン名.sparsebundle
  6. ターミナルをexitして、Cmd-Qで終了すると、起動時のメニューになるので、「TimeMachieバックアップからリストア」に入る
  7. 「TimeMachineバックアップ」の名前があるので、それをクリックして選択し、先に進む
ということでした。hdidがキモになるコマンドだ、ということですね。で、man hdidすると、backward comatibilityのためにのみ存在するコマンド、とかあって、将来的にどうなのかわからないですけれど、OS X 10.4の頃のhdutilコマンド(現存しない模様)の機能を切り出したものだということで、必要性がある限りは残るんでしょう。El Capitan時点ではまだあります。

MBP Retine 13"ディスプレイ破損と交換、さらに再修理の顛末

前回の回復後、急いでTimeMachineバックアップをとったものの、次の打合せに持参したところで落としてしまい、ついにディスプレイがブラックアウトしたままどうにもならなくなりました。

一回目の修理


やむを得ず、Apple電話サポートと話をして、Genius Barの予約をとってもらいました。とはいえGenious BarはiPhone修理の人でいつも混雑していて、なかなかとれないこと。でも、電話サポートの人は、こちらが動ける4月3日(土)と6(水)の予約を2つ入れてくれました。

なんとか土曜の予約時間に間に合ったので、そこでみていただくと、iPadでステータスを確認しながら、見えない画面でいろいろキーボード操作して診断していた模様。ThunderboltにEthernetのドングルをつけた状態です。

それで、「外部ディスプレイに出力が出るかもしれません」ということで接続すると、普通に起動した状態の表示が出て、「たぶん本体とディスプレイの間のケーブルやコネクタの部分の問題でしょう」ということで、基本料金33,000円(税込み35,640円)の見積もりとなりました。うれしい金額です。キーボードのバックライトが点灯しない理由については、「環境光センサーで明るさが決まるので、その配線の問題では」ということで、いよいよ配線のみだろう、という気持ちが高まりました。

そして、修理センター送りにしたのですが、翌日すぐにApple Storeから電話が。業務があり気が付かなかったのですが、メールで連絡があり、リンクをクリックすると、詳しい診断結果が表示されました。
  • ディスプレイパネル折損。圧力によるものと考えられる
  • ロジックボードに分解痕、コネクタの一部はがれ
 でありまして、分解結果見つかった破損箇所を爪楊枝で指しているくっきりした写真つきのため、ぐうの音も出ません。占めて税込み81,000円の見積もり。この際、クラムシェルのディスプレイ側全体を交換ということになったようです。見積書にはこの金額だけが書かれていて、最初の見積もりとの差を考慮して、諸費用はまけてくれたようです。ついでにロジックボードの交換を含めた金額なので、かなり良心的な対応(Retinaディスプレイ全体の価格が8,1000円のようなので)。

さて困りました。そんな金額はどこにもありません。というか、これからかかる様々な費用に備えて積み立てていた3万円しかないわけです。前の金額なら、食費を削って捻出を考えていたんですが、もうだめ。やむなく、財務大臣に土下座して、華麗に無視されたわけですが、2日後にはなんだか5万円が無造作にテーブルに置かれておりました。「これ以上は出ないからあとはなんとかしろ」と理解して、積立全部崩すこと決定。仕事になりませんから。

で、そのままサイトで修理承諾のボタンを押したところ、4月11日(月)にはAppleStoreに届いたとの連絡がありました。動けるのが水曜だけなので、13日に受け取りに行きました.

2度目の修理


受け取りは特にGeniusではなく普通の店員が対応するので、単に倉庫からもってきて、受け取りサインをしたら引っ込もうとするわけですが、「念のため起動の確認させてください」と言って、立ち会いのもと電源を入れてみます。

すると、いきなりこの画面ですよ。
おなじみ(笑)kernel panicの画面
初めて見るので戸惑っていると、「工場のテストのあとこういうことはあるので、続ければいいです」というので、何かキーボードを押すとbootが進みます。で、まあ、それらしい画面になりました。というか、修理に出す前のままの画面でして、Chromeのタブも全部そのまま復元。SSDの消去などは一切しなかったようです。ありがたや。

それで、少し見ていると、まあ大丈夫そうだったので、そのままディスプレイを閉じてスリープしたんですが、なんだか嫌な予感が残りました。マウスカーソルが固まっている気配。

帰宅するとやっぱり固まっているので、電源長押しで電源断、再起動。まあ使えているようです。それで、その日は疲れていたのでそのまま寝落ちして、朝起きたらやっぱり固まっていました。

この際、セルフテストすべきだろうと思って、キーボードの「d」を押しながら起動すると、2つぐらい進んだところで固まります。え。

強制電源断、 再起動して、仕事を始めようとするんですが、ログイン画面の背景の上に、画面左上からだーっと小さな文字でkernel panicのメッセージが流れます。をを! これでこそUNIX。

感動と戸惑いを抱えつつ再起動すると、今度はログイン画面に入る前に、同じく上からkernel panicメッセージ。さすがに心配になったので、もう一度セルフテストにかけると、こんどは「異常なし」できれいに終わります。なんなんだ。

変なkernel moduleでもいるのかな、と、追加で入れたデバイスドライバなどを消してみるも、特に改善しません。というか、だんだんkernel panicの間隔が短くなってきたので、これはOSのクリーンインストールをして、それでもだめならハードウェアの問題、セルフテストは通るけど。と考えて帰宅。自宅でCmd-Rで再起動し、ディスクユーティリティでパーティションを再作成して、ファイルシステムの消去(フォーマット)をしてから、リカバリに入ります。リカバリ領域に入っていたのは購入時のMaveriks。インストールを進めるのですが、しばらくするとkernel panic! 素敵すぎる。単に再起動してみるとどうなるんだろうと思ったら、続きのインストールをはじめます。再びkernel panic! 再起動して、ようやくMavericksが入りました。しばらく触っていて、なんとなく普通に動いているようにみえます。ハードウェアはおかしそうだけれど、まあいいやと思って、El Capitanにアップグレードするも、こちらはkernel panicのメッセージは出ないもののプログレスバー(iOSと同じ感じのやつ)が動かなくなるので、そこで電源断、再起動を2回やったらインストールが終わりました。でも、しばらく触るとすぐにkernel panic(上の図の画面)するので、Safariでメールの用事を少し片付けたところで諦め、翌朝からApple電話サポートに電話。

といっても、セルフテスト通るので、「これは詳細調査させてください」ということで、再びGenius Barを2つ予約。今度は13日(水)の夕方と閉店前の2つ。もう宅配ピックアップでいいと思ったんですが、「いったんお店でみてもらってからのほうが」ということで、こうなったんですが、正解でした。

Genius Barの本領発揮


水曜日の前の日に最終バスを逃してしまい帰れなくなったので翌日そのまま仕事して、早めに上がりたかったけれど業務が終わらないので、自宅にいったんMBPをとりに戻り、そのままAppleStoreに直行。8時過ぎについたので、45分の予約よりはずいぶん早いのですが、iPhone修理の人がいっぱいいるなか、10分ほどで呼び出してくれました。

で、マシンを出すのですが、これといって異常を見せないわけです。こういうときって。

そこで登場したのが、Genius Barにある、ネットワークブートでの診断ツール。例によってEthernetドングルをつないで、[Option]キーで起動すると、ずらりとネットワークブートの地球が並びます。それぞれ名前がついていて、目的に応じた専用ツールがあるようです。「nを押して起動する方法もあるんですよ」とのこと。なんだか、NetBootとよばれる機能があるようですね。詳しい説明がここにありました。NFS使うんですかへえ。

それでハードウェア診断のツールでboot。今度はグラフィカルな表示で、プログレスバーやチェック項目のアイコンが現れては診断結果をアイコンにつけつつ進みます。結局すべてのハードウェアに緑色のチェックマークがついて、OK。

別のツールで見るも、これといった異常がなくて、「少しお待ち下さい」ということで現れたのは、エンジニアリングに最も詳しいと思われるスタッフのお兄さん。同じように診断結果がオールグリーンなのを確認して、普通にSSDから起動しようとするときの、ちょっとしたもたつきを彼は見落としませんでした。

「ログを見てみましょう」といって、コンソールを開くと「SSDのアクセス失敗が大量に出ていますね」という。僕も見ればすぐにそれとわかります。

そう思ってみると、起動時にも、メニューバーがなかなか出なかったりします。

すぐに、最初に対応したスタッフのおねえさんに指示を出します。「ロジックボード交換と、念のためSSDの交換」、診断状況の報告についてもいくつか文言の指示を出します。

それで出てきた見積書が、ロジックボード47,100円を無償、128GB SSD 33,500円を無償、ハードウェア修理の技術費3,300円を無償、合計83,900円を90日保障で無償というもの。前回の修理でロジックボード交換されているのは明らかですが、これだけ割り引いてくれたんだという感慨がありました。最後の修理費とはなにかと思ったら、AppleStore店内でパーツを取り寄せて交換するときの料金とのこと。「修理センター送りでいいんですけど」と言ってみたら、「やることは同じですけど、確かめておきたいので」と。修理センター送りにするとどこが悪いのか確認できないから自分の目でしっかり見たいという、エンジニアの性なんでしょう。「仲間だ」と思ったので、「お願いします」ということで、店舗へのパーツ到着を待って交換したのち、一定の負荷テストをすることに。

しばらく日数がかかると思っていたのですが、昨日、4月19日に修理完了のメールが届いたので、本日(水)に受け取ってきた次第。今度も、店内の一般店員はあまり技術に明るくなさそうでしたが、「前回受け取った時にちゃんと起動しなかったので」と言って、きちんと起動し、しばらく問題がないことを自分で確認しました。そのときに、「こちらでも、一定時間電源を入れて、いくつかアプリを使って正しく動作することを確認していますので」という説明がありました。

というわけで、いま、このエントリを書いている間にTimeMachineバックアップを戻し終わったところ。 ネットワーク共有先のドライブの場合どうするかについて、次のエントリに続きます。

ちなみに、なんだかSSDがめちゃくちゃ早いです。これが単に、リカバリ直後だからなのか、それとも、もしかして、もしかするとMBP Early 2015以後のPCIe 3.0x4のSSDだったりしたら、細かな心遣いに感謝したいわけですが、そればっかりは分解してみないとわからないわけで、ひとまず気にしないことにします。システム情報見たら、STAT/STAT Expressのところで「リンク幅: x2」とあったので気のせいでしたはい。

2016年4月18日月曜日

I-O DataのWN-AC433UAをArch Linuxで使う

(追記:2017年4月19日)最近のカーネルでは、この記事のドライバでは問題がありそうです。新たに記事を起こしましたので、ご参照ください。

WiFi APの構築をしています。NCUで。

当初はVyOSを使おうとしていたんですが、IntelのNCUではbootできませんでした。あと、内蔵Wi-FiモジュールはLinux Kernel 4.2以上が必要ということで、3であるVyOSは対象から除外することとなりました。それでいろいろ苦労しております。

そのあたりは後述するとして、この際LinuxはArch Linuxにしようと決めました。理由はただひとつ、どんどん新しくなるからセキュリティ対応も早かろうと。

Wi-FiのAPなので、アンテナが外部に出ていたほうがなにかと便利と思い、I-O DataのWN-AC433UAがなんだか在庫があるということで、何も考えずに注文して届いたわけですが、当然Arch Linuxでは認識できないわけです。動いたという報告が見当たらなくて、しばらく途方に暮れていたのですが、日をあらためて調べ直すと、チップセットは「Realtek RTL8811AU」とのこと。つまり、このカーネルモジュールを入れればよいということになります。

すると簡単に、AURとして「rtl8812au_rtl8821au-dkms-git」があることがわかりました。名前はあれですが、RTL8811AUもサポートすると書かれています。

そうくればあとは簡単です。

とりあえず、AURの環境が準備されていなかったので、こちらの手続きにしたがって、yaourtでAURのパッケージコンパイルとインストールができるようにします。

そして、linux-headers、dkms、rtl8812au_rtl8821au-dkms-gitをインストールすることになります。最初はカーネルモジュールだけ入れて、dkmsが必要と言われてdkms、linux-headersがないと言われてlinux-headersを入れたのですが、この逆がよいのではないかと思います。

sudo yaourt -S linux-headers dkms
sudo yaourt -S rtl8812au_rtl8821au-dkms-git
dkmsを使うのは初めてだったので再起動してしまったのですが、そうしなくてもなんとかなるんだろうとは思います。

これでdkms statusすると
$ dkms status
rtl8812au_rtl8821au, 4.3.22_beta.r9.928e27f, 4.5.0-1-ARCH, x86_64: installed
と、カーネルに組み込まれていることがわかります。そこでおもむろにWN-AC433UAをUSBポートに挿し、lsusbすると
$ lsusb
Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0003 Linux Foundation 3.0 root hub
Bus 001 Device 006: ID 8087:0a2a Intel Corp.
Bus 001 Device 004: ID 05e3:0610 Genesys Logic, Inc. 4-port hub
Bus 001 Device 002: ID 04bb:0953 I-O Data Device, Inc.
Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0002 Linux Foundation 2.0 root hub
こんな感じで見えるようになりました。ip linkすると、
$ ip link
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1
    link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
2: enp3s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
3: wlp2s0: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noop state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
4: wlp0s20u1: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noop state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether yy:yy:yy:yy:yy:yy brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
ちゃんとデバイスが生えています。よかった。

まだ通信テストができていませんが、それはこれから。

2016年3月26日土曜日

MacBook Pro Retina 13-inch Mid 2014死亡→3日後に復活(追記:やっぱり死亡 in 2016年4月3日)

 (追記:2016年4月20日)
いったん復活したかに見えたのですが、結局ディスプレイのブラックアウトが発生し、どうにもならなくなりました。以後の顛末は次のエントリで。


3日前、新学期に備えて3Dプリンタの修理をしていて、調整のためUSBケーブルで接続していたところ、椅子で膝にMBPを載せた状態のまま、ふと立ち上がろうとしたら手すりがケーブルを引っ掛けてMBPが2m以上吹き飛び、ケーブルも壊れるという事態が発生しました。

MBPには、AppleStoreサイト限定の「Tech21 13インチ Impact Snap Case for MacBook Pro」を装着していて、これまでも教室への運搬中に落下させるなど、ひどい扱いをしているものの、特に傷が入ることもなく、本体の動作に支障をきたすこともなく使えていたのですが、今回はMicroUSBアダプタをSDスロットに指していて、それが破壊するほどの衝撃だったためか、起動不能状態に陥りました。

こういうときはまずPROMリセットから、ということで、Command+Option+P+Rを押した状態で電源を入れ、いったんはそれで何事もなく再起動したのですが、ほどなく突然ブラックアウトし、そのまま再びPROMリセットしても、SCMCクリアしても、起動音こそすれAppleロゴが現れない、ターゲットディスクモードのため、Tキーを押して起動した状態でThunderbolt接続したMac miniで様子をみても、外付けディスクとしても、「システム情報」にもThuderboltデバイスとして見つからず、お手上げになりました。

最後の頼みでAppleのサポートに電話して、3時間ほどあれこれと対処を探るものの改善せず、「残念ですが修理になります」という結論になりました。

Mac miniはTime Machineバックアップしているのですが、MBPは128GB SSDということもあり、クラウドに必要と思ったものを載せるやりかたでやっていて、作業中のファイルや、メモ的に開きっぱなしにしているブラウザのタブが失われると仕事が分断されるところがあり、修理に出してきれいさっぱりということには強い抵抗がありました。あと、Apple Careを購入していなくて1年保証が切れてしばらく経ったこの時点で修理代を払うこともできない状態で、詰んでいるような気持ちになっていました。

検索すると、内部の掃除だけで復旧できたという話がこのモデルについてもいくつかあり、なんとか底面の星形レンチのねじを外してみたいと強く思うに至りました。

そういうときはiFixitなわけですが、該当ページによれば使う工具は「P5」タイプのドライバとのこと、Amazonでいろいろ見ると、Penta 1.2mmという記述するものと同じようでした。ただ、iFixitの最初の写真は、P5以外にヒンジ部分の2本はP6と書かれており、2種類必要そうであるものの、使う工具の欄はP5ひとつだけということで、よくわかりませんでした。

翌日大須で、こういう特殊ドライバを置いている店をくまなく探してみるものの、工具を多く扱う店の入っている第2アメ横ビルは水曜休み、他の多くの店に置かれていた中華ドライバビットのセットで、P5とP6の両方が入ったものは扱いがありませんでした(あっても、P5のみを含むセットのみ)。

それでAmazonをポチると、通常配送で翌日には届いてしまい、電車賃払う必要があったのかと自問。

さて、それで、iFixitのサイトをみるのですが、さきのリンクの通り、Teardownのページがなく、内部掃除のため部品を外していく明確な手順はわかりませんでした。

それで、まずP5のビットでねじを外していくと、裏蓋のすべてのねじがP5であって、P6に合うものはありませんでした。ということは、大須にあったセットでもよかったわけですが、価格が1500円前後だったので、電車賃を入れてもAmazonのほうが安かった。結果的に。

ひとまず内部が見えたので観察するのですが、ほとんどの部品はねじでしっかり留められており、SSDもビス止めされ、振動などで部品が緩んで起動できなくなるような要素は見当たりませんでした。

そこで、ゴムのなかに接点があるようなコネクタ部分を指でしっかり押さえてみて、外した裏蓋をウエットティッシュで拭いたあと、見えている部分のほこりをさっと拭ったところで、裏蓋が外れたまま電源を入れてみると、意外にもAppleロゴが表示されました。そのまま、リカバリ手順に入ったように見えるのですが、メニューバーはあってAppleメニューがあるので、そこから再起動すると、普通にもとの状態で再起動してきました。

疑心暗鬼のまま、裏蓋を再度ねじどめして、もとの状態に戻して電源を入れると、なぜか完全復旧できた様子で、そのままいまに至ります。

考えてみたら、このマシンは購入翌日になにか致命的な初期不良があって、いったん修理に出していたのでした。そのときはGenius Barで確認して1年保証の範囲で無償修理に出しました。2013年モデルではビデオ関係の問題でApple Care関係なく無償修理対象だったことがあるようで、Mid 2014でも何か不具合が出やすいなにかがあるのかもしれません。

明日はTime Machine用HDDがついたマシンにTime Machineバックアップしておこうと思います。

2016年3月12日土曜日

Raspberry Pi純正7inch Touch ScreenとRaspbian Jessieへのジェスチャー機能の導入

Raspberry Pi公式7inch Touch Screenが届いたのが1月中旬だったかと思いますが、いままで多忙のため、ほったらかしにしていました。

OSも入れ替えるので、スクリーンがあったほうがよいと思い、使ってみることにしました。

まずボードを見ると、ATTINY88、つまり汎用AVRマイコンがいて、おや、と思いました。基板のパターンが見えないのでなんともいえませんが、東芝TC358762XBG DPI-DSIシリアル-パラレル変換チップとディスプレイコントローラのFT5406DQ9(フレキのなかに埋まっている)の間に入って、パラレル信号をAVRマイコンのI/Oで受けて、FT5406DQ9にSPIで画面のビットマップデータを渡す仕事をしているのかなあと思うところです。TC358762XBGの右側、Raspberry Piロゴのところで盛大にパラレルのラインが走っているのですが、スルーホールが終端になっているので、そこから基板の裏に抜けてATTINY88のI/Oに入っていると想像すると、ATTINY88とフレキのコネクタが隣り合っている理由が立つんではないか、という感じです。

あとRaspberry Piにこのボードから給電する使い方なので、電源がどうなっているのかが気になりますが、搭載されている電源チップはTIのTPS65101という液晶ディスプレイ用マルチ電圧電源チップが搭載されているだけで、Raspberry Pi基板給電についてこれといった特別な配慮はないように見えました。USB端子から給電されたものを液晶用にはこのチップで複数の電圧の電源を作って使いますが、Raspberry Pi側にはそのまま流すだけなのかなと思います。

マルチタッチのための指の座標などを扱うI2Cに関しては、Raspberry Pi A+/B+以後はDSI端子にI2Cが出ているのでそれを使うそうです。一方、Pi 1のDSIにはI2Cが含まれていないので、Raspberry PiのGPIOに配線するためのI2Cピンヘッダが出ているということのようです。販売されているキットに4色のメス-メスワイヤーがついてきて、赤と黒でRaspberry Piにこの基板から給電するような説明で、残りの3つのピンや黄と青のワイヤーの使い道について説明がないのは、それが理由のようです。つまり、Pi 1ならSCLとSDAを余った2本のワイヤーでそれぞれGPIOの物理ピン番号で5(SCL)と3(SDA)につないでタッチ機能を使えるようにする、ということ。さらに、ボード上のUSB A端子は5V出力用なので、百均の短いmicroUSBケーブルを使ってRaspberry Piに給電してあげれば、Pi 1以外ではキットに添付のワイヤーは不要になります。
ディスプレイ裏のボード部分
話が前後しましたが、接続方法はRSコンポーネンツの代理店ケイエスワイさんのページにある通り簡単で、DSIフラットケーブルの向きや裏表を間違えないことと、この手のケーブル用コネクタはプラスチックの押さえを引き出してからケーブルを差し込み、再度押し込んで固定する構造ということさえ理解していればよい、と、他のブログでもいろいろ解説されている通りです。Raspbianも最新のNOOBSでは最初からタッチデバイスを「FT5406」として認識してくれました。lsmodすると、「rpi_ft5406」というカーネルモジュールも入っています。

ということで、いきなり何も困らない感じでしたが、触ってみると困るのが右クリックがないこと。

WheezyではXの設定でEmulateButton3関係のプロパティを設定してあげれば動くようですが、Jessieではプロパティが設定されていても無視されるようでした。ここまではフォーラムの前半の議論の通りですが、次のページにあたる後半に、twofingというプログラムでジェスチャーイベントを設定してやる方法がありました。 設定手順は別スレッドに整理されていたので、こちらを参照されるとよいと思います。

「twofing」が実現するのは、以下の3つのジェスチャーのようです。
  • 2本指スクロール(タブレットと同様に、指に画面移動がついてくる動き)
  • 2本指ピンチズームと回転
  • 2本指タップによる右クリック
やってみると、狭い画面で2本指タップで右クリックというのはなかなかつらいですが、タップを使っている間に右クリックだけのためにマウスに手を伸ばすのはたいへん残念なので、それよりはよほどいいのかなと思います。

フォーラムに書かれている手順の概略をだいたいまとめると以下の通り。
  1. gitを入れる
    $ sudo apt-get install git
  2. ソースを取得
    $ git clone https://github.com/Plippo/twofing.git
  3. 必要なライブラリ取得
    $ sudo apt-get install build-essential libx11-dev libxtst-dev libxi-dev x11proto-randr-dev libxrandr-dev
  4. cd twofing; make; make install
  5. /etc/udev/rules.d/70-touchscreen-egalax.rules に以下を追記
    KERNEL=="event*",ATTRS{name}=="FT5406 memory based driver",SYMLINK+="twofingtouch",RUN+="/bin/chmod a+r /dev/twofingtouch"
  6. ~/.config/lxsession/LXDE-pi/autostart に以下を追記
    @/usr/bin/twofing
5番目はOS起動時にタッチスクリーンの入力イベントデバイスを、twofingが参照するデバイス /dev/twofingtouch に関連付ける記述で、6番目はLXDEが起動するときについでにtwofingを起動させるための記述です。

これで二本指ジェスチャーが使えるようになって、マウスがなくてもあまり困らなくなると思います。

右クリックは上部のバーですぐに確かめられます。スクロールは標準のEpiphanyブラウザで、ピンチでの拡大縮小はLibreOfficeで確認できると思います。

このあとさらにオンスクリーンキーボードもあればキーボードも不要になっていよいよタブレットということになりそうですが、LXDEデスクトップを使うには解像度が足りないので画面が狭く、ちょっと躊躇するところです。この画面サイズで指操作を考慮した特定のアプリケーションでの利用に限定するのが無難なのかと思います。研究・開発用という感じでしょうか。

2016年3月11日金曜日

Raspbian Jessie上のドリトルで日本語入力できた

昨年夏にRaspberry Piのドリトルで日本語入力しようとしたとき、Jessie+ibus-anthyではドリトルだけ日本語入力できないという問題があり、Wheezyに戻して使うということをしていました。

しかし、Raspberry Pi 3で標準搭載のWi-Fi+Bluetooth 4.1チップのドライバが、発表日である2月29日以後のRaspbianにしか入っていないような報告があり、Jessieがインストールされることが確実なため、日本語入力の方法を探しておかなければならないと思い、試してみました。

日本語入力については、検索してみるとscimを使う人、ibusを使う人、いろいろおられるようでしたが、uimを使う設定を書かれている人がいて、「あ、これは...!!」と思った次第。

具体的にはNOOBSは1.8.0でした(2016年2月29日付)が、もちろんJessieです。

RSコンポーネンツの解説にしたがって、日本語フォントを導入したあと、
$ sudo apt-get install uim uim-anthy
としました。なにやらuimのメニューアプレットが表示されましたが、日本語入力への切り替えがわかりませんでした。検索してみると、コマンドラインから「uim-pref-gtk」を起動せよとのこと。

起動すると、左の「グループ」のなかにいろいろありますが、「全体キー設定1」をみると、「Shift+スペース」がローマ字かな変換のオンオフということがわかりました。状態表示がよくわからないので「全体設定」グループの「視覚設定」→「□カーソルの側に入力モード表示」にチェックを入れて、「OK」ボタンを押し、設定変更してみたところ、たしかに、Shift+スペースで、直接入力とローマ字かな変換の表示が変化して、日本語変換できることが確認できました。

さてドリトルです。新しくインストールしたRaspbianなので、再び公式ページからダウンロードしてインストールするんですが、Jessieからは、ダウンロードフォルダの名称が「Downloads」になったんですね。Wheezyでは全角カタカナの「ダウンロード」だったので、コマンドラインからの入力に一手間入ってつらかったのですが、助かります。「dpkg -i ファイル名」でインストール、メニューからドリトルを起動しました。

日本語入力、ちゃんとできました。

最初に失敗してから半年以上経っているので、どこがどう変化してうまくいくようになったのかよくわかりませんが、いちおうuim-anthyでは大丈夫ということが確認できたので、ご報告です。