業界標準ではSPICEということになっていて、一般的にはリニアテクノロジー社のLTSpiceをダウンロードして使うことになっている。LTSpiceは同社のアナログICなどのデバイスを買ってもらうために無償で配布している(専門家はもっと高級なものを購入するのだろう)。
問題は、Windows専用ということだろう。
そこで、他のOSを使う人で、GUIがほしいよという人はQUCSを使うらしい。Qt3ベースで、GUIのマルチプラットフォーム化を実現している。また、各国語の翻訳データも入っているので、日本語メニューに設定変更できるのも授業で使うにはありがたい。
念のため、2011年秋頃最終更新の0.0.16をダウンロードして入れてみた。Windows用バイナリは同じSourceForgeの別リンク先からとってくる。Macの場合は、MacPortsに入っているので、適当にパッチを流用するなどすれば手動でも入れられるだろう。それより、Qt3が巨大なフレームワークなので、MacPortsではQt3のコンパイルで一仕事になるように思う。
問題は、日本語メニューの表示だ。Windows 7の場合どうなるか、という記述はあまり検索上位に上がってこないようだ。なので、一応書いておくと、
- Languageを「Japanese (jp)」にする
- その2段上にある「Font (set after reload)」を「Meiryo UI」にする
- ScriptをUnicodeにする(と、いいのではないかと思う)
なお、QUCSの開発は止まっているというような記述も一部にある。後継プロジェクトはQucsStudioらしい。QUCSにもASCOという最適化ツールやOctave(MatLabのGNU版)スクリプトを用いたシミュレーション結果の視覚化などが同梱されているが、QucsStudioはさらに多数のデバイスやシミュレーション手法、プリント基板設計やガーバーデータ出力などまで含むようで、なんだかたいへんなことになっている。Qt4ベースにも書き換えられている。しかし、GPLのQUCSをベースとしながらソースコードが公開されていないしWindows専用ということで、いまひとつ食指が動かない(起動はしてみたが)。いまのところ言語ファイルも英語とドイツ語のみ(ドイツ語のqmファイルから日本語に翻訳すればいいのかもしれないが)。
それから、コマンドラインでよければ、NGSPICEというプロジェクトもある。各種OSで動く(ただしXが必要なので、WindowsではCygwin環境ということになる)。SPICE3に準拠しているので、本格的にエンジニアリング目的で使うなら、こちらのほうがいいのかもしれない。