2012年4月26日木曜日

この際だからioBook Airについて一言いっておく

久々に自腹でなく東京出張したついでに、秋葉原へ寄ってきた。というより、秋葉原が久々なので、いろいろな意味で知らないことが多かったのだが、それはそれとして、ioBook Airである。

風のうわさで聞いたような気がしていたがすっかり忘れていたこの製品、なぜかイオシスでない別のショップ店頭にあり、遠目で見てなるほど立派な中華だと感心。そして、仕事後の秋葉ショップ閉店時間に追われるようにあちこち巡った挙句、用はないのだが念のためイオシスで確認してきた次第。

で、ネットで検索してみたのだが、実物を見ないでいろいろ言っている輩が多すぎる。また、ニュースサイトの記事も煽りすぎだ。

実物に実際にさわり、店員の正直な話を聞けばわかるのだが、あらゆる部分に「なんちゃって感」溢れまくりの製品なのだ。実際いまCupertinoでデザインされた「ほんまもん」のAirでこの記事を書いているのだが、あれは共通部品らしきところはかなり少ない。

少なくとも、アルミユニボディは、素材が違う。というより、金型が違う。図面は流用しているのだろうが、いろいろ作りかけて失敗した痕跡があるのだ。

まず右側。Mini DisplayPortとUSBはそれらしいが、その手前にmini HDMI出力があり、さらにその手前に謎の横長の穴がある。これはどうも特殊形状のコネクタで有線Etherを出したかったらしい残骸とのこと。回路設計に失敗したのか、どうにも動かないらしく、イオシス側で端子部品の実装をやめる指示を出し、コストを下げたらしい。

というわけで、虚しく内部基板を覗くだけの空気穴というか好意的にとらえれば通気口がぼんやりと空いているという状態。

次に、左側面だが、ACとUSBは普通にあるが、イヤホンジャックのあるべき場所はSDカードスロットになっている。そして、イヤホンジャックの穴はその手前となる。

で、Cupertinoで設計されたものと並べてみれば、この中華はそれだけ余計なパーツを入れたことにより、筐体が厚くなっているわけだ。

また、トラックパッドはやや小さめだ。感触も、梨地といえばきれいだが、ざっくりいうと10000番台の紙やすりのような雰囲気を覚えた。筐体も同様に、ややざらざらしている。

トラックパッドが小さくなったのは、キーボード部分に押しやられたためと考えられる。

キーボードについてなぜ誰も言わないのか不思議なのだが、キートップは8bit時代懐かしの「消しゴム」風である。四角い濃いグレーの消しゴムが3mm近くは突出していると考えてもらいたい。その上に文字が印刷というか転写されている。消しゴムそっくりの手触りと、押したときのぐにゃり感はまさに8bit機のそれである。NECならPC-6001とかMSXとか、記憶がある人は各自想像してもらいたい。そして、キートップがそんな感じなためなのか、いわゆる遊びのスペースが多くとられている。そのことで、キー間隔が広がり、全体で面積をたくさんとる結果になっている。

液晶は正直、どのぐらい違うのかわからなかった。液晶パネルは同等品がいくらでもあるので、まぁそのへんで手に入りやすいものを使っているのではないかと思う。ロットによって違っていても不思議ではない。だって中華だもの。

背面の光るイオシスのロゴをどうこう言う意見がネットでは目立つが、こうした全体の「なんちゃって」感からすれば、このロゴなど別に目立つ欠点とはいえない。ダメ押ししときました、という店長の声が聞こえそうだ(大阪本店は知らないので、本人がそう思っているかどうかはわからないけれども)。

で、動いているWindows 7だが、別段言われているほど悪くはない感触だった。

さて、なぜ僕がこれをわざわざ見に行ったかというと、Windows 8のMetro環境でスナップ表示まで手っ取り早く使えるマシンとして、4万弱ってのはまぁそこそこいけてんじゃないの、という理由に尽きる。中古のもっと安いマシンで1366x768の解像度はなかなか見当たらないし、その上でSSDかつ4GBメモリならば、そこそこ妥当な価格設定ではないか、ということだ。

そこでWindows 8について尋ねてみたのだが、「Wi-FiとBlueTooth両方をひとつにしたチップが一般的じゃないやつで、ドライバの互換性が怪しい」ということだった。Windows 7用のドライバはチップメーカーからダウンロードしてくれば動くのだが、Linuxだとどうもまともに動いてないみたい、という話。大阪方面で、動くドライバがあったとかなかったとかいう声は出ているらしい、というのが現状とのこと。

こういうマシンでWi-Fiなしはかなり厳しいところだが、「普通の100MのUSBアダプタならWindows 8でもいける…と思いますよ」ということだった。たぶん、そうなんだろう。

結局、Wi-FiもBlueToothも忘れて有線で開発用に遊ぶ「なんちゃってマシン」ならば、十分いけるというのが僕の全体評価。外で本気で使うマシンではない。だって消しゴムキーボードだもの。ごりごりコードを書くにはあまりにもストレスフルだ。

ただ、画面はおんなじ雰囲気で、まぁ高精細ではあるから、その部分ではいいかもしれない。だから、開発したアプリの動作確認には十分だと思う。

結局ある意味、Windows 8標準搭載マシンが出るまでの「つなぎ」の期間である「いま」でのみ「うまみ」がある製品ではないだろうか。8ではマウス操作はオプショナルだから、本来タッチパネル搭載が望まれるのだが、Windowsが動くタブレットはまだまだ高い。ちょっと歩いて探してみたが5万ぐらいする。そこまで払うのかどうか迷った心の隙間に忍び寄ってくるマシンだと思う。