(注:サイトをよく確認したんですが,4月末以後の1.4との明確な差が写真と手元の実物から確認できませんでした.通信の不具合が解消しているか,現在配布しているものを確認できないので,以下の記述を当面保留します 2015-09-10)
以前のブログエントリで述べてきた,2015年5月版の「なのぼ〜どAG 1.4」について,ともんさんと何度か質問と回答のやりとりを得ながら,割と孤独に学生の実習のためハックを重ね,いろいろと面白い成果を出すことができたのですが,報告書作成のため,あらためてサイトをアクセスしたら,2015年8月版1.4にアップグレードされていて,驚愕であります.
前のエントリもそこそこのアクセスがありまして,その内容もご参照いただいたのかと思いますが,当時の懸案事項というのか,7月から8月にかけて胃を痛めながら睡眠時間削って回避方法を探ったり,基板のパターンと回路図を眺めながら,わかる人にはわかるように仕込まれている隠れ仕様を発見しつつ学生の要望に対応してきたことが,全面的にクリアになったような印象です.
ここで最も大きいのはATmega8Lをクリスタル駆動にした大英断と賞賛したいです.5月版1.4は,前のエントリに書いたとおりATmega8L内蔵のRCクロックで動作していましたので,本当に不安定でした.一応温度補償回路内蔵というメーカーの仕様ですが,電源ケーブル,その日の温度,湿度,さまざまな理由でシリアル通信の条件がつねに変化し,120〜150分の授業の間にも動く時間と動かない時間があり,この夏は異様に蒸し暑かったのですが,エアコンあれども,日に日に不安定度が増していくようなありさまでした.
当方での使い方として,ドリトルとの間でつねにシリアル通信をする形をとったので,タイミングが不安定になるとデータが欠けたり化けたり,あとProlificのWindows版ドライバを強く疑っているのですが,連続してデータをやりとりすると,Windowsのレベルでドリトルの動作が停止したり,基板との通信が止まって基板が生きているのか死んでいるのかわからなくなる,ということが頻発して途方に暮れるのでありました.Scratchセンサーボードのスケッチは毎サイクルですべてのセンサデータの送信とモータ等の動作データ受信を繰り返すので,あるサイクルで失敗しても次のサイクルで回復するとか,Scratch側がバッファ持ってて多少遅れてもなんとかなるようでしたが,ドリトルのプログラムは間欠的に,ときにバースト的にデータをやりとりするので,データの欠落や化けはわりと致命的でした.
Prolificのチップですが,Mac版ドライバは非常に安定しており,5月版なのぼ〜どAG 1.4であっても,たまにまずいところだけ5〜10ms程度の待ち時間を入れてあげる程度で,Windowsのときのようなハングは一切生じておりませんでしたが,Windowsでは,随所に50ms以上のウエイトを入れて確率8割ぐらい,PCの個体によってはどうやってもお手上げで,その個体ではATmega168Pに8MHzのクリスタルを搭載した「スタディーノ」でさえ通信ができなかったりしました.
スタディーノで使われているのは中華クローン対策をしたTA版チップで,クローンされまくったHXAの後継であるHXシリーズとは設計が違うと思われるのに,とにかくだめなときはだめです.
WindowsのドライバはProlific公式サイトからダウンロードしたものも,Windows 8.1や10で自動インストールされるドライバも,挙動に違いはみられないように観察されました.
それから,なのぼ〜どAG基板裏のジャンパパターンのカットについて,前のエントリの何度かの更新で加筆していきましたが,公式サイトでも写真つきで説明が入り,わかりやすくなりました.僕の現在の死亡フラグが立った状態が落ち着いたら,具体的な使用例込みでこちらで報告したいと思います.
それから,Li-Po(リチウムポリマーバッテリー)について,充放電管理のチップを搭載したものを入荷されたということで,これもすばらしい.SparkFunもAdafruitも商品ラインナップは電池単体で,チップはLilyPadやFloraのようにArduino基板側に搭載されるか,Breakout基板として別途提供という形でした.国内はラジコン用でホビーショップから買う経路が安定しているようですが,小型軽量なLi-Poは小さなプロジェクト,特に身に付けるような作品をスマートに仕上げるには具合がいいので,3.7〜4Vあたりの動作の回路には積極的に使っていきたい感じですが,専用充電器じゃないと怖いよ,ということで手を出しにくいところだったかと思います.という意味で電池側にチップがあるのは楽でいいです.
ただ,Li-Poは充放電を繰り返しているうちに膨張していつか破裂するという宿命があり,それは避けられないこと,パッケージは柔らかいけれど衝撃等で内部に傷やひびが入るとボーイング787初期の燃焼事故のような感じでやっぱり燃えるので,荒っぽい使い方しないよう注意してほしいと思います.で,ちょっとでも危ない気配がしたら正しい回収先に出す.
YouTubeを「battery explosion」で検索すると,バッテリーケースやスマホ本体にナイフを打ち込んで爆発大炎上させるロックな動画がいっぱい出てきますが,よいこはまねしないでくださいね.