この記事で紹介した「Activity Board」とともに、Propeller GCC + SimpleIDEが公式発表されました。いままでPropellerは独自のオブジェクト指向言語SPINでプログラミング剃る必要がありましたが、GCCの移植によりC及びC++に対応しました。また、SimpleIDEはQtベースのマルチプラットフォームな開発環境です。SPIN, C, C++いずれの言語を含むプロジェクトを管理することができます。いままでのPropeller ToolkitやMac版のbstはもう要りません。僕はベータ版公開の頃からSimpleIDEで開発しています。SimpleIDEは一部MITライセンスが含まれますが、基本的にQtと同じオープンソースライセンスで提供されます。Propeller GCCは当然GPLです。
参考:
ついでに、Activity Boardにおすすめのステレオスピーカーも同時発売です。iPhoneとかにもいい感じです。
わたくし先月の商談で両社の通訳ボランティアをつとめたのでちとあれですが、有用な情報だと思うので速報的にお知らせします。
Parallaxは米国カリフォルニアにある従業員70名ほどの小さな会社ですが、社長のお兄さんにあたるChip Gracy氏の独創的なアイディアによるマイコンと、マイコンを利用したプロトタイプや実験・学習用に向いた、気の利いた各種デバイス基板を製造販売でアメリカではとても有名な会社です。
いまのイチオシは本当にユニークな立ち位置にある32bit 8コアプロセッサのPropeller (ver.1)なのですが、事情がありまして(汗)日本語資料が少ないことから(昔、トラ技で一度紹介されたのみ)日本ではあまり認知されてこなかったと思います。唯一、ChipがParallaxを立ち上げるきっかけになった製品「Basic Stamp」が10年以上前から秋月で販売されていたのをご記憶の方があるかという程度かと思います。
「Basic Stamp」はPICを載せた40pin DIP形状の基板で、秋月ファンの方には「PIC Basic」と誤解されることが多いのですが、全然違います。僕自身が使ってきた感触では、Basic Stampのほうがずっと気が効いていて、多様なセンサやアクチュエータを容易に取り扱うことができ、かといって特殊な命令を使うのではない、スマートなバイトコンパイラに仕上がってきたように記憶しています。学習用として大学で用いられてきたのはもちろん、一部の産業用制御機器に組み込まれる形での出荷がかなりあったときいています。アメリカでは日本の「ラジオの製作」誌に似た立ち位置の雑誌「Nuts & Volts」で連載がずっと続いていたこともあって、ホビーで使う人も多かったように思います。
で、秋月が現在扱っているParallax製品はこちらです。
Propellerは現在最も安価なProto BoardとPropStampのみとなっていますが、超音波距離センサの「Ping」の価格を見てください。Arduinoのサイトでも超音波距離センサといえばPingというぐらいメジャーな製品ですが、日本ではこれまで5000円とか出さないと小売で買うことはできませんでしたが、2500円で出ています。これは快挙。
また、3軸ジャイロも4000〜5000円という価格のものでもやすいかな、という感じでしたが、3000円で出ています。これでジャイロをWiiリモコンプラスから取り出していた人にも、手軽にジャイロモジュールとして購入しやすくなったのではないでしょうか。
Propeller搭載基板は、これから続々と面白いものが出てきます。少なくとも、現行製品で少々値は張りますが、Activity Boardは新しい設計だけあって、超高速なADCやXBee端子、マイクロSDスロット、DACなどたいていのプロジェクトの実験に使えそうなものが搭載されています。ご興味のある方は、秋月にお問い合わせもしくはリクエストなどしていただけるとよいのではないでしょうか。これまで個人輸入でしか手に入らなかったあれこれが秋月価格で出てくることが大いに期待されます。